「英語は3語で伝わります」×「Web of Science」コラボレーション企画

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by Clarivate Analytics Japan
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3語英語の著者が、伝わる英語論文を書くコツを

Web of Scienceの収録論文を使って伝授します!

 

中山 裕木子 氏
株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役
公益社団法人日本工業英語協会 理事・専任講師

 

 

 4月に英語論文の読み方のセミナーを担当させていただきました。

 あれから半年、コロナ禍での不安は消えませんが、with Coronaでmove forward(前に進もう)としている方が増えているのではないでしょうか。

 海外での国際学会へ出かけることが難しい研究者の方々も、将来の研究生活に不安を感じている理系学生の皆様も、自分の研究を「書いて伝える」ことは、ますます重要になってくるでしょう。少なくとも、英語論文アブストラクトの書き方を早期に習得しましょう。

 

 さて、まずはアブストラクトの「書き出し」をどうするか、です。

 前回、英語論文の読み方セミナーでもお伝えしたとおり、アブストラクトは通常1つのパラグラフからなり、論文全体の要点と論文がカバーする技術範囲を示します(アメリカ化学会のスタイルガイドより)。そして、原著論文のアブストラクトは、大きく3つの内容から構成されます。

1. 研究の背景・解決したい問題

2. 問題を解決する方法・何を行ったか

3. 得られた知見・推論

 この中の1. 研究の背景・解決したい問題 を書くにあたって、読みやすい英文で簡潔に書き出したいものです。

 

 それでは早速ですが、アブストラクトの第1文目として、次の内容を書いてみましょう。
環境分野の「バイオマスから燃料や材料を生産する技術」に関する論文アブストラクトを書きます。

 

英作課題①エネルギーコストが増加し、環境への懸念が高まる中、持続可能な再生可能燃料や化学物質の必要性に注目が集まっている。

 

 英語が苦手、という方は、Google翻訳DeepLといった機械翻訳を使ってもかまいません。例えば次のように翻訳できるかもしれません。

With increasing energy costs and environmental concerns, the need for sustainable, renewable fuels and chemicals is gaining attention.(DeepLを使いました(2020年8月))

 正しく良い英文なのですが、同じ内容を、Web of Scienceのデータベースから検索したインパクトファクターが付与されたジャーナルの論文では、次のように表現しています。文頭に句が飛び出さず、主語から開始された読みやすい英文です。

 

この文を分解すると、主語→動詞→目的語のシンプルなパターンになります。動作を表す無生物主語を使ったシンプルな単文構造です。態は能動態、時制は過去から今の状態を表す現在完了形を使っています。

主語
Increasing energy costs and environmental concerns
高まるエネルギーコストと環境への懸念により

動詞
have emphasized
次のことへの関心が高まっている

目的語
the need to produce sustainable renewable fuels and chemicals.
持続可能な再生可能燃料や化学物質を生成することが必要であること

 

続いてもう一つ、同じ分野の異なる内容を英作してみましょう。

英作課題②バイオマス由来の燃料や材料を広く生産するためには、セルロースやヘミセルロースをそれらの構成要素である糖に分解するための費用効果の高い工程を開発することが重要である。

 

辞書を使って手入力で英作をするか、または第1ドラフトには機械翻訳を使っても良いでしょう。大切なことは、翻訳した後の英文を、しっかりと自分の力で錬ることです。

In order to widely produce biomass-derived fuels and materials, it is important to develop a cost-effective process for degrading cellulose and hemicellulose into their constituent sugars.
(Google翻訳を使いました(2020年8月))

正しい英文ですが、In order toが長くなっています。例えばアメリカ化学会によるACSスタイルガイドでは、in order to→toへと短くすることをすすめています(The ACS Style Guide, 3rd edition, P54, Words and Phrases To Avoid)。

また、日本語ではつい、「~することが重要である」と言ってしまいがちですが、英訳するとit is important…となりがちで、語数が多くなります。

実際のジャーナルの論文では、次のように表現しています。

「~は重要である」という導入文に動詞require(~を必要とする)を使って表現すると、アブストラクトの第1文目がスッキリと書けそうです。

 

最後は短い文です。機械翻訳を使わずに英訳してみましょう。

英作課題③近年、最近、エネルギー不足が深刻な社会経済的問題となっている。

 

Recently, energy shortage is becoming a serious socioeconomic problem.

英語ワンポイント:recentlyは過去形または現在完了形と一緒に使います。現在形で書きたい場合には、「近年・昨今」にnowadaysを使います。recentlyを使いたい場合には、時制を現在完了形に修正します。また、文頭ではなく、recentlyを文中に入れるのもおすすめです。主語から開始して文を書くことができます。

→ Energy shortage has recently been a serious socioeconomic problem.

上手く書けました。

 

答えも見てみましょう。Web of Scienceに収録の実際の英語論文の表現からです。

 

主語→be動詞→補語を並べるSVCのパターンです。論文英語では、SV、SVC、SVOの3つのパターンを使って書きます。

 

さて、本日練習しましたアブストラクトの書き出し表現をまとめます。

 

【アブストラクトの書き出し表現例】

①「~により、~の必要性が生じた。」

_________ has/have emphasized the need to ____________________________________.

ポイント:主語には名詞や動詞の名詞形、toの後には~すること、という動詞を置きます。

 

②「~には、~が重要(必要)である。」

_______ requires/require (will require) _________.

ポイント:「~することは~である」を「~することは、~を必要としている」というパターンに組み立て直します。

 

③「近年、~が問題になっている。」

Nowadays, _________ is a __________ problem.

ポイント:problemの前には形容詞を置きます。置く内容がなければ、単にa problemとします。______ has/have recently been a problem.とすることも可能です。

 

本日の3つの表現の中で気に入ったものがあれば、是非、ご自分の研究分野の内容に置きかえて、英作してみてください。

 


来たる9月26日(木)のウェブセミナーでは、このように、論文アブストラクトの各部分を英作する例をご紹介します。Web of Scienceに収録されている論文からの形を真似ることで英作を練習するとともに、伝わる英語を書くコツやルールをお伝えして参ります。

ご参加の方には、複数の収録論文から講師が独自に作成した表現集をプレゼントいたします。また、ひとたび論文が書けたら投稿先ジャーナルとのマッチングが気になる、という方に向けて、クラリベイト担当者から、Web of Scienceを使った投稿先ジャーナルの探し方のデモもいたします。ご参加をお待ちいたします。

■□ ウェブセミナー開催概要 ■□

本セミナーはウェブセミナーです。伝わる英語論文を書くコツを伝授します。
開催日時に参加できなくても、事前申込を頂いた方には後で録画版をご案内します。

【開催日】 2020年9月24日(木)15:00-15:45
【講 師】 中山 裕木子氏(株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役)
クラリベイト ソリューションコンサルタント (弊社サイエンス事業部)
【主 催】 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社
【対 象】 研究者・大学院生・URA・図書館員・研究推進の方など、研究および研究支援に関わる方
※同業者はお断りする場合がございます。予めご了承ください。
【参加費】 無料
※事前登録が必要です。
【お申し込み】 http://interest.clarivate.jp/202009_24_webinar_wos

 

特典①

アブストラクトの英語表現集をプレゼント:ご登録いただいた方には、データベースWeb of Science収録論文から作成した便利な表現集をプレゼントします。それを使って、自分のアブストラクトを書いてみましょう。

特典②

英語論文が書けたら次に気になるのが投稿先の選択。データベースWeb of Scienceを使って、タイトルとアブストラクトから投稿先ジャーナルを探すデモをクラリベイトの担当者が行います。本講座の終わり10分にてデモを行います。

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