「トムソン・ロイター引用栄誉賞」(ノーベル賞予測)2016年、日本からの受賞者は3名

~ 京都大学 本庶佑氏(医学・生理学)、崇城大学・熊本大学 前田浩氏(化学)、国立がん研究センター 松村保広氏(化学)~

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2016年9月21日(日本時間)
米国ペンシルバニア州フィラデルフィア発
*米国時間9月21日0時に発表されたプレスリリースの抄訳です。

世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター(本社米国ニューヨーク、日本オフィス:東京都港区)は、2016年の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を発表いたしました。2002年より毎年9月の発表が恒例化されている本賞は、学術論文の引用データ分析から、ノーベル賞クラスと目される研究者を選出し、その卓越した研究業績を讃える目的で発表されるものです。15回目となる本年は、日本人研究者3名を含む合計24名が受賞しました。このうちハーバード大学のStuart L. Schreiber氏は2度目の受賞となりました。本賞で二度の受賞を果たしたのは、過去には理化学研究所の十倉好紀氏のみで、異なる研究トピックにおいても非常に卓越した業績が讃えられています。

日本からは、化学分野において2名、医学・生理学分野から1名が選出されました。崇城大学DDS研究所特任教授・熊本大学名誉教授の前田浩氏と、国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野分野長の松村保広氏は、ともに「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」において今回の受賞となりました。また、京都大学客員教授の本庶佑氏は、「プログラム細胞死1 ( PD - 1 )およびその経路の解明により、がん免疫療法の発展に貢献」による受賞となりました。

本庶 佑(Tasuku Honjo)氏 <医学・生理学>
京都大学 客員教授
本庶 佑(Honjo Tasuku)氏
「プログラム細胞死1 ( PD - 1 )およびその経路の解明により、がん免疫療法の発展に貢献」

受賞コメント
『この賞に選ばれましたことは誠に光栄なことと存じます。ありがとうございます。わたしたちの研究がガン治療に役立ち人の命を救えたという事が何よりの喜びです。』

* * * * *

前田 浩(Hiroshi Maeda)氏<化学>
崇城大学DDS研究所 特任教授
熊本大学 名誉教授
前田 浩(Maeda Hiroshi)氏
「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」

受賞コメント
『癌に薬剤をピンポイントにターゲッティングするEPR効果発見から30年を経て、それがようやく世界に広く浸透し、この度、トムソン・ロイターによって評価されましたことに対し研究者としてこの上ない喜びを感じております。この受賞により、EPR効果の原理を充分に理解した癌治療法の臨床への応用に広く関心を持っていただけることと思います。このような名誉ある賞を頂けましたことは、今後の研究の励みになります。誠にありがとうございます。』

* * * * *

松村 保広(Yasuhiro Matsumura)氏<化学>
国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野 分野長
松村 保広(Yasuhiro Matsumura)氏
「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」

受賞コメント
『30年以上前、がんによる血液凝固に端を発する、腫瘍血管透過性亢進により、抗体などの高分子蛋白が腫瘍に集まりやすいというEPR効果を見出して以来、血液凝固系分子抗体を作り、CAST (Cancer Stromal Targeting) 療法を提唱しました。また、種々のがん特異抗体も作りました。今回の受賞を誇りとし、私どもの抗体医薬が患者さんの役に立つことを証明するまで、研究開発に全力を尽くします。』

<トムソン・ロイター引用栄誉賞とは>
トムソン・ ロイター引用栄誉賞は、トムソン・ロイターのデータベースを用いた論文・引用分析において、ノーベル賞クラスと目される研究者を発表するものです。世界 トップクラスの研究者の功績を讃え広めることで、科学がより身近なものとして認知されることを目的に、2002年からノーベル賞に先駆けた発表を恒例化しており、本年が第15回目となります。 ノーベル賞の科学系4賞(医学・生理学、物理学、化学、経済学)と同カテゴリで構成されており、これまでに39名が実際にノーベル賞を受賞しています。

<トムソン・ロイター引用栄誉賞の選考基準>
トムソン・ロイター引用栄誉賞は、過去20年以上にわたる学術論文の被引用数に基き、各分野の上位0.1パーセントにランクする研究者の中から選ばれていま す。主なノーベル賞の分野における総被引用数とハイインパクト論文(各分野において最も引用されたトップ200論文)から、ノーベル委員会が注目すると考 えられるカテゴリ(医学・生理学、物理学、化学、経済学)に振り分け、各分野で特に注目すべき研究領域のリーダーと目される候補者を決定します。 本賞は引用分析から「近い将来ノーベル賞を受賞する可能性の高い研究者」を発表することを目的としており、その年のノーベル賞受賞者を予測するものではありません。

<選出に使用するデータベース>
本賞は、世界最高水準の学術文献引用データベース「Web of Science® Core Collection 」 を用いて、医学・生理学、物理学、化学、経済学のノーベル賞4分野において最も影響力があった研究者を分析・発表しています。当社の過去30年以上にわた る分析から、学術論文の被引用数と同分野における研究者間での高評価には、強い相関関係があることが分かっており、論文の引用頻度が高いことは、学術分野 における影響度の大きさを示しています。

<過去の日本人受賞者>
過去に本賞を受賞した22名の日本人研究者については以下のサイトをご覧ください(理化学研究所の十倉好紀氏は異なるトピックにより2回受賞)。
2002-2016の日本人受賞者一覧
22名の受賞者のうち、山中伸弥氏は2012年にノーベル医学・生理学賞を、中村修二氏は2014年にノーベル物理学賞をそれぞれ受賞しています。

本年のトムソン・ロイター引用栄誉賞受賞者は、以下の通りです。なお、氏名の後ろに記載の国名は、所属機関の所在地を示しています。

医学・生理学

トピック(カッコ内の日本語は参考訳、以下同じ): For elucidating programmed cell death-1 (PD-1) and its pathway, which has advanced cancer immunotherapy(プログラム細胞死1 ( PD - 1 )およびその経路の解明によりがん免疫療法の発展に貢献)

本庶 佑 (日本)
京都大学客員教授
関連論文(1992年) │ 引用情報付き論文リスト(ResearcherID)
Gordon J. Freeman (米国)
Professor, Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute and Professor of Medicine, Harvard Medical School Boston, MA USA
Arlene H. Sharpe (米国)
George Fabyan Professor of Comparative Pathology, Department of Microbiology and Immunobiology, Harvard Medical School and Member, Department of Pathology, Brigham and Women’s Hospital Boston, MA USA

トピック: For explaining how CD28 and CTLA-4 are regulators of T cell activation, modulating immune response(免疫応答調節におけるCD28およびCTLA-4のT細胞活性化メカニズムを解明)

James P. Allison (米国)
Professor and Chair, Department of Immunology, M.D. Anderson Cancer Center, University of Texas Houston, TX USA
Jeffrey A. Bluestone (米国)
A.W. and Mary Margaret Clausen Distinguished Professor of Metabolism and Endocrinology, University of California San Francisco Medical School San Francisco, CA USA
Craig B. Thompson (米国)
President and CEO, Memorial Sloan Kettering Cancer Center New York, NY USA

トピック: For discoveries of the growth regulator Target of Rapamycin (TOR) and the mechanistic Target of Rapamycin (mTOR)(成長因子ラパマイシン標的蛋白質(TOR)と哺乳類ラパマイシン標的蛋白質(mTOR)の発見)

Michael N. Hall (スイス)
Professor Biozentrum, University of Basel Basel, SWITZERLAND
David M. Sabatini (米国)
Professor of Biology, Massachusetts Institute of Technology; Investigator, Howard Hughes Medical Institute; Member, Whitehead Institute; Senior Member, Broad Institute; and Member, Koch Institute for Integrative Cancer Research Cambridge, MA USA
Stuart L. Schreiber (米国)
Morris Loeb Professor of Chemistry and Chemical Biology, Harvard University; Investigator, Howard Hughes Medical Institute; Director of Chemical Biology, Broad Institute Cambridge, MA USA

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物理学

トピック: For theoretical studies of solid materials, prediction of their properties, and especially for the empirical pseudopotential method(固体およびその特性の推測、特に経験的擬ポテンシャル法に関する理論的研究)

Marvin L. Cohen (米国)
University Professor, Department ofPhysics, University of California Berkeley Berkeley, CA USA

2017 Nobel Prize Winner!

トピック: For the development of the Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory (LIGO) that made possible the detection of gravitational waves(重力波の検知を可能にしたレーザー干渉計重力波天文台(LIGO)の開発)

Kip S. Thorne (米国)
Feynman Professor of Theoretical Physics Emeritus, California Institute of Technology Pasadena, CA USA
Rainer Weiss (米国)
Professor of Physics Emeritus, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA USA

ノーベル賞サイトはこちら

Ronald W.P. Drever (米国)
Professor of Physics Emeritus, California Institute of Technology Pasadena, CA USA

トピック: For their description of a control theory of chaotic systems , the OGY method(カオス制御法であるOGY法の記述)

Celso Grebogi (英国)
Sixth Century Chair in Nonlinear and Complex Systems, School of Natural and Computing Sciences, University of Aberdeen Aberdeen, SCOTLAND
Edward Ott (米国)
Distinguished University Professor of Electrical Engineering and Physics, Institute for Research in Electronics and Applied Physics, Institute for Systems Research, University of Maryland College Park, MD USA
James A. Yorke (米国)
Distinguished University Professor of Mathematics and Physics, Institute for Physical Sciences and Technology, University of Maryland College Park, MD USA

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化学

トピック: For discovering the enhanced permeability and retention (EPR) effect of macromolecular drugs, a key finding for cancer therapeutics(がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見)

前田 浩 (日本)
崇城大学DDS研究所 特任教授
熊本大学 名誉教授

関連論文(1986年) │ 引用情報付き論文リスト(ResearcherID)
松村 保広 (日本)
国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野 分野長
関連論文(1986年) │ 引用情報付き論文リスト(ResearcherID)

トピック: For application of CRISPR-cas9 gene editing in mouse and human cells(マウスおよびヒト細胞におけるゲノム編集手法CRISPR-cas9の適用)

George M. Church (米国)
Robert Winthrop Professor of Genetics, Harvard Medical School Boston, MA USA
Feng Zhang (米国)
W. M. Keck Career Development Professor of Biomedical Engineering, Massachusetts Institute of Technology, and Core Member, Broad Institute Cambridge, MA USA

トピック: For detecting cell-free fetal DNA in maternal plasma, a revolution in noninvasive prenatal testing(母体血漿内の無細胞胎児DNAの検出による革新的な非侵襲胎児健診の確立)

Dennis Lo Yuk Ming (中国)
Li Ka Shing Professor of Medicine and of Chemical Pathology, and Director of the Li Ka Shing Institute of Health Sciences, Chinese University of Hong Kong Hong Kong, CHINA

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経済学

トピック: For contributions to macroeconomics, including determinants of economic fluctuations and employment(経済変動と雇用の決定要素を含むマクロ経済への貢献)

Olivier J. Blanchard (米国)
C. Fred Bergstrom Senior Fellow, Peterson Institute for International Economics, Washington, D.C. USA and Robert M. Solow Professor of Economics Emeritus, Department of Economics, Massachusetts Institute of Technology Cambridge, MA USA

トピック: For his development of the distinctive field of personnel economics(独創的な人事経済学分野の創出)

Edward P. Lazear (米国)
Morris Arnold and Nona Jean Cox Senior Fellow, Hoover Institution, and Jack Steele Parker Professor of Human Resources, Management and Economics, Stanford Graduate School of Business Stanford, CA USA

トピック: For pioneering descriptions of firm heterogeneity and international trade(企業の異質性と国際貿易における先駆的な研究)

Marc J. Melitz (米国)
David A. Wells Professor of Political Economy, Department of Economics, Harvard University Cambridge, MA USA

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情報出所 : トムソン・ロイター(Thomson Reuters)
2016年9月21日
英文プレスリリースはこちら

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